そう思っていたはずなのに……

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結子ちゃんは伊藤晴哉くんには言いたい放題だ。そしてその時が一番可愛い。私に見せるのは優しい笑顔だけど、気の許し方がきっと違うのだろう。 伊藤晴哉くんは、他の女子にも軽口を叩いたりしていつも楽しそう。もちろん男子とも仲良く話している。 きっと元気のない人やぼっちの人が放っておけないのだと思う。だから地味で暗い私にも話しかけてくれる。 だけど、結子ちゃんと話しているときは特に嬉しそうだ。 二人は幼い頃からの幼馴染み。 だから、まだ知り合って一年以内の私とは全く違う。 二人には、強い絆があるのだ。多分。 だから、私に入る隙なんてない。 資格もないし、伊藤晴哉くんに恋もしてない。 もし、このやるせないモヤモヤが恋なら心から消してしまえばいい。 どうせ、もうすぐ中学二年は終了する。 クラスが別れてしまえばそんなの簡単だ。 もし結子ちゃんともクラスが別れてしまったら、新しい友達を作らなければいけない。 受験だってある。 きっと新しい毎日は忙しいから、心から恋を消すなんて簡単だ。 毎日、好きなことをがむしゃらにやればいい。 恋心を消すなんて春休みの間に簡単にできる。 だって、元々希望なんてなかったし、大して強い気持ちでもなかった。 大丈夫、大丈夫。 何にも考えていなかった頃の、真っ白な心に戻すだけだ。
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