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修了式の日の記憶はそれ以降はない。
春休みの初日に結子ちゃんから『昨日からの熱はインフルエンザだった』という連絡があった。
その翌々日、私も熱が出た。結局私もインフルエンザにかかってしまった。一週間、とにかくずっと寝ていた。そして、たまにぼんやりと残りの春休みの過ごし方を考えた。
珍しくしっかりと寝込んだ私が通常の生活に戻ったのは、春休みが半分くらい過ぎたころだった。
残りの一週間ちょっと、私は考えていたことを次から次へと実行することにした。
なんとなく伸ばしていた髪をショートボブにしてみた。
副教科と国語以外は全部苦手だから、やることはたくさんある。その合間に、散歩をした。
散歩の時に履くのは、柔らかいピンク色の靴ひもを通したライトグレーのスニーカー。新しいものを身に付けるのはテンションが上がる。
早歩きするたびに揺れる髪がちょっとくすぐったい。
前を向いて、まっすぐにまっすぐに。
邪なことなんて何も考えていなかったころの真っ白な自分に戻れるように。
過去のちっぽけな想いなんて、どうでもよくなるくらいなりふり構わず、やりたいことをやってみよう。
誰にも迷惑がかからないように、自分のことだけに集中しよう。
さよなら、私の初恋。
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