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『子どもだと? その成獣はメスか。フルウ、子どもの写真撮れるか? こちらへ送ってくれ……フルウ? 聞こえているか?』
またも黙るフルウに隊長は声をかけた。返事の前に鼻をすするような音が入り、フルウの情けない震えた声が聞こえてきた。
「隊長…今送りました…。うぅ~、可愛すぎて泣けてきます…もうダメです」
『おいおい、マジでしっかりしてくれ。騒ぎ出したかと思えば、今度は泣くのか!? だいぶ情緒不安定じゃねぇか…』
子ども達は「ミウ、ミウ」と庇護欲を掻き立てる、か細い声を出しながら母親に食事をねだる。
母親は少し喉を上下させると、顔の下に集まった子ども達に口から柔らかくなった餌を少しずつ与えているようだった。
「うわぁ~、ごはん食べてます〜。あれ? ママが…ママがどっか行っちゃいます! 飛んでいった!」
食事を与え終えた母親は、周囲をキョロキョロと見渡すと、大きな羽を再び広げ一気に上空へと飛び立った。
子ども達は満足そうに自分達の羽や前足をペロペロと舐めている。
『気付かれたか…?』
「あ、シルバー隊員が言うには、また餌を探しに行ったんじゃないかって…」
『そうか、じゃあまたすぐ戻って来るな。次、来た時に麻酔銃を打て。子どもがいる状態で親にそのまま攻撃するのは危険だ。守るために相手も必死になるだろうからな』
「えぇ!? 嫌です! 子ども達のいる前でそんな事…! ひどいですよ!」
隊長とフルウが揉めている間、親が不在のコヤンイバード達は3体でじゃれ合いを始めた。
まだ小さな背中の羽をパタパタと羽ばたかせながら、低い位置を跳ねるように飛ぶ。
遊び始めて興奮してきたのか、そのうちの1体がフルウ達の近くまでやってきた。
「ミウ! ミウ!」
「あっ…やばい…僕の所に来ちゃいました。ぐわっ……可愛い!! ふ、ふわふわ…」
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