震えるフルウ・エル

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一体がフルウの靴紐にじゃれ始めると、気がついた残りのコヤンイバードもパタパタと羽を震わせ飛んで来た。 そしてぽてんと地面に降りると、皆の匂いをクンクンと嗅いだ。 『子どもとはいえ、気をつけろ。親はまだ戻って来ていないか? 先にそいつらを始末してもいい』 「……隊長、まだそんな事言ってるんですか? さっきから何人かのシルバー隊員が言ってるんですが、このコヤンイバード…」 フルウが何かを言いかけた時、大きな羽音と共に「シャー!」という威嚇の声を出し、母親が戻って来てしまった。 フルウ達は隠れ蓑を脱ぎ、咄嗟に銃を構える。 「隊長! ママが戻って来ました! 子どもを取られたと思って、すごく怒ってる…」 親コヤンイバードは蛇のような鋭い目つきになり、飛び回りながらフルウ達を睨みつける。時折、急降下してきては鳥のような、恐竜のような後ろ足で飛びかかってくる。 コヤンイバードは戦いの際、口から凍てつく冷気を出すらしいが、今は子ども達がいるせいか冷気を出すような仕草は見られない。 通信機越しにコヤンイバードの威嚇やフルウ達のどよめく声が聞こえ、隊長は音が割れるほどの大きな声で指示を出した。 『フルウ! 麻酔銃だ、麻酔銃で眠らせろ!』 「は、はい!」 その声の後、パンパン! という銃声が響き、大きな体の親コヤンイバードが地面に落ちた。 ただ、すぐに寝落ちるというわけでもないようで「シュルルル」という息混じりの鳴き声が聞こえてくる。 フルウの足元にいた子どものコヤンイバードは、崩れ落ちた母親に向かって「ミウー!」と大きく鳴くと、転びそうになりながらも走って近寄った。 辛そうに目を細め、朦朧としながらも子どもを確認する親コヤンイバード。他の子ども達も心配そうに寄り添う。
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