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碧い羽根の絆
ちびコヤンイバード達は、国が管理している貴重な生き物や植物を保護する施設へと入る事が決まった。
まだ幼い子達が、このビニルハウスにいては他の獣の餌になる危険性があった。
毎日様子を見に来ていたフルウや、動物好きのシルバー隊員は少し寂しい思いでいたが、誰もがちびコヤンイバード達の幸せを願った。
餌をくれる人間を認識したちびコヤンイバード達は、フルウの姿を見ると元気に小さな羽を震わせ寄って来た。
「ミーウ! ミーウ!」
「はいはい、分かったから。それぞれのお皿があるだろう? おいこら、独り占めするな」
母親から口移しで食べていた子ども達だったが、あれはただ甘えていただけなのかと思うくらい、皿の中のほぐした魚肉をひとりで一生懸命食べていた。
フルウは小さな頭をそっと撫でてやった。
食べ終わると嬉しそうに擦り寄って「クルクル、クルクル」と鳴いた。
***
いよいよ今日、ちびコヤンイバード達は施設へと移る。
ビニルハウスでの生活の方が、自由だったんじゃないかと思うくらいに、施設の檻の中は冷たく感じた。
「…ごめんな。人間の勝手でさ…。でも精一杯の対処はするから。お前達が少しでも楽しく暮らせるように…」
移動日、シルバー隊員達も見送りに来た。
にこにこと孫でも見るかのような眼差しで、皆別れの言葉をかけていく。
彼らの後ろから、隊長も少し気まずそうな表情でフルウの元へやって来た。
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