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「お前の人事について、もう聞いたか? 途中からの異動にはなるが…お前には保護施設の方が合ってるよ」
右手を首の後ろに当てながら、隊長は軽くふぅと息を吐いた。
「…隊長が推薦してくれたんですよね? ありがとうございます」
「まぁ…害獣駆除にはお前みたいなヤツは使えないさ。なんでも可愛い、可愛い、言いやがって」
呆れたように、照れを隠すかのように話す隊長の言葉に皆で笑った。
「すみません。生きていく中で、必要な事もあるって頭では分かっているんですけど…」
隊長はポンとフルウの肩に手を置いた。
「あぁ、俺達は俺達の仕事をする。お前はお前に与えられた使命を全うしろ」
フルウは抱えていた箱の中のちびコヤンイバード達に目をやった。毛布の中で寄り添うようにしてフルウを見上げている。もう震えてはいないようだ。
途端に近くの木々から鳥達が一斉に飛び立った。
ちびコヤンイバード達がソワソワと動き出す。
――ナァ――オォ。
鳴き声がした。
声の方へ目を向けると、遠くの太い木の枝に一体の碧色の羽のコヤンイバードが止まっていた。
その声に反応した子ども達は小さな体を伸ばして、箱から顔を出し、パタパタと羽を鳴らす。
「ミウ! ミウ! クルクル…クルクル…」
「この子達のママだ…会いに来てくれたんだ…!」
皆が静かに見守るなか、一度だけ鳴いたコヤンイバードは我が子の姿を見届けると、大きな羽を広げ再び遠くへと飛んでいった。
フルウはじわじわと溢れ出てくる涙をそのままに、ちびコヤンイバード達に声をかけた。
「良かったな、お前達…ママは忘れてない。お前達の事、今も大事に想ってるんだよ」
「クルクル…クルクル…」
「なぁ…お前達が大きくなって飛び立てるようになったら…ママの所へ帰ろう。きっとお前達のママなら迎え入れてくれるよ」
「ミーウ!」
3体のちびコヤンイバード達は、理解したかのように、強く同時に鳴いた。
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