害獣駆除へ

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害獣駆除へ

薄暗い森の中、害獣の駆除隊を連れ立って一人の青年が左右を交互に警戒しながら、森の奥へと突き進んでいた。 その青年の名は「フルウ・エル」。 白肌に金髪、年は20歳を迎えたばかりで、まだあどけなさの残る誠実そうな男である。 森の中ほどまで来るとフルウは立ち止まり、左手首に付けられた黒い通信機の小さなボタンを押した。 青いライトが点滅し始め、その後赤く光るとブーッと通信機が震えた。 『――フルウ、聞こえるか?』 やや荒い音に乗り、男の低い声が聞こえた。 フルウは左手を口元に近づけ、その声に応える。 「はい、隊長! 聞こえます! 今、予定していた場所に到着しました」 『よし、今お前がいる場所が最近目撃された害獣の住処(すみか)だ。前日に仕掛けておいた餌入りの罠はどうだ? 何か入っているか?』 フルウは少し先に見える大きな鉄の檻を目を細めながら確認した。 罠には中身はなく、硬い鉄でできているにも関わらず、ペシャリと潰された痕が見られる。 「…壊されて、餌もなくなっています」 『そうか、まぁいい。その場所にヤツが現れる事だけは確かだ』 フルウは鼻から大きく息を吸うと、フゥーと声に出すように、ゆっくりと息を吐いた。 『ふっ、なんだ、お前震えてるのか? そんなに心配するな。新米のお前には、強力な助っ人を付けたんだ。体力的には若い衆に劣っても、経験や知識は勝っているからな』 そう言われて、フルウは背後にいる数名の高齢の男達、「シルバー部隊」をちらりと見た。
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