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真冬に恋をし、真冬に恋が終わる。
短いようで長かった物語です。
真冬に恋をするなんてこれっぽっちも思ってなかった日に1人の青年に出会ってしまった。
1話 - きっかけ -
肌寒い日のことだった。
「寒い」と一言声に出して言った。
私は、寒い時口癖のように
連呼して言い続ける。独り言が多めだ。
その時は、寒いを人一倍感じながら生きている気がする。
そんなある日、私は、家庭の事情で1人暮らしを始めることが決定した。
平凡で変わり映えない毎日を送っていた私に変化する時が訪れた。
前々から、1人暮らししたいなと思っていたが、したいなと思うくらいで、何がなんでもしたいという固い意志はなかった。
そんな人間なのだ。昔から。
私は高校卒業してからすぐ地元で就職した。
2年ほど実家で暮らし、何不自由なく暮らしていた。家にお金は入れていたものの、生活費はほとんど親がだしてくれていた。
今思うのは、感謝している。
ということだ。
その当時は何も思ってなかった。
本当に申し訳ないけど、まだ心が子供すぎた。
そんなこんなで、一人暮らしの家探しが始まったのだ。
スマホで、とりあえず検索してみた。
「一人暮らし 〇〇(地名) 1LDK」
たくさん物件が出てきた。
21歳だったが、
家探しは初めてで、いろんなことを考えて探すのが難しかった。
例えば、
・会社からの通勤距離
・家賃設定
・間取り
・築年数などなど
どこを重要視するのか、どこを重要視したらいいのか調べれば調べるほどわからなくなっていった。
家賃は高いし、それに、管理費とか駐車場代とかもかかるらしい。
(そんなの聞いてないしわかんないし)
と心の中で思いながら
あったかい布団のなかで紅茶を飲みながら
家探しを続けた。
なんか、日に日に、物件が増えたり減ったりするのが目に見えた。
好物件だとすぐ決まってしまうみたい。
一番驚いたのは、まだ引っ越しが終わってなくて退去予定の段階で入居を決める人もいるみたいで、そこまでしないと取れないのかとちょっと焦ってきた。
仕事をしながら、休みの日に内見したりしてたけど、ここっていう物件がなかなか見つからなくて、頭をかかえていた。
私、意外と優柔不断なとこがあって、
これだ!とか、ビビッとくるものがあればすぐ行動したりするんだけど、
少しでも、引っかかると行動に起こすどころか動きもしない。
優柔不断の性格がかなりでて、1ヶ月経ってしまった。
すこし物件探しをやめてみた。
すぐにってわけじゃなかったため、少し時間をもらうことにしたのだ。
休日の日、母と私が大好きなうどん屋さんに行った。
私は、かけうどんの中。
母は、かけうどんの小。
いつもと注文は変わらないことに触れない母との関係性がとても好きだ。
母と話すのは仕事の愚痴と恋バナ。
母とはなんでも話す友達のような関係。嫌なことがあっても嬉しいことがあっても母には報連相を徹底して行っている。
うどんを食べ終わり車を運転していると、
スーパーの横に1つのアパートが見えた。
アパートの壁には
【入居者募集中 ○○○-○○○○-○○○】
(電話番号)
がかかれていた。母がいった。
「電話かけてみたら?」と一言。
「電話?うーん、まぁかけてみる?」
私は物件を探すのをやめていた為乗り気ではなかった。
「ここのアパートじゃなくても、もしかしたら良い物件持ってるかもよ、ちょっとかけてみようよ」
となぜか、母はすごい乗り気だった。
仕方なく、アパートの壁に書いてあった電話番号にかけてみた。
10コールくらいだった、
「はい、もしもし」
繋がった。
声のトーンてきに、おじちゃんだった。
私は咄嗟に、
「あっ、突然すみません、アパートの入居者募集中の張り紙をみてお電話させてもらったのですが」
するとおじさんがいった。
「あ〜、どこのアパートの張り紙かな?」
「○○スーパーの横のアパートです。」
「○○スーパーの横ね、そこいま1部屋リフォーム中で数ヶ月かかるんだよね」
「そうなんですか、もし他にどこか良い物件とかあったりしませんか?」
と尋ねてみた。
「あるよ、今から何軒か内見してみる?」
とフレンドリーそうなおじさんが電話越しにそう言った。
私も母も特にすることはなかった為、
何軒か内見させてもらうことにした。
1軒目、家賃安い、近くにコンビニ、近くにドラックストア、駐車場無料、管理費無料。
とだけ説明され、母はかなり条件が良いことを言葉には出さす訴えてきていた。
母は昔からわかりやすい。
内見してみることにし、家に入った。
かなり広かった。
1人だと充分くらい広くて、日当たりもよく、2階なのだ。
一つ欠点があったのは、ベランダがないところくらいかな。出窓になってはいるが、ベランダがないのだ。
私は、家賃、広さ、近くにある店など重なり、速攻でこの家に決めた。
あれだけネットで物件探しで、
迷ってた自分が嘘みたいに、感じた。
「ここにします。」
と言い切った。
おじさんも嬉しそうに、
「わかりました!」
と一言。
そして、私の1人暮らしの家が決まり、
生活を始めていくことになる。
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