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ほっ
なんと、恩人は同じクラスの雪村君。驚きと同時に知ってる人でよかったとほっとした。そして、雪村君にお礼とついでに文句とお願いを伝える。
「雪村君、転びそうになったところ助けてくれてありがとう。でも、鼻で笑われんのは納得いかへんわ…あと…もう落ち着いたし…腰に回ってる腕、離して欲しい…」
伝える声が段々小さくなっていく。下半身が密着していて恥ずかしい。
「腰に回してる腕、離すのは名残惜しいなぁ…。偶然片思いの子とこんな状態になってるのに」
と茶化しながらもゆっくり腕を離してくれた。そして、彼の話は続く。
「鼻で笑ったつもりはなくって…。谷川さん見てたら、パニクってるのが手に取るように分かって。笑ったらあかんわって堪えてたら、つい鼻で吹いてしまった。ごめん」
ここで一旦彼の話は終わったのか、私の頭を一撫でする。
「分かった…。で、あの…偶然片思いって、あの…」
シュガーな雪村君にしどろもどろになりながら聞く。
次に雪村君、私の頬を優しく両手で包み込んで『僕を見て』と彼の方を見るような角度で頭を固定される。私はされるがまま、彼を見ることになる。
「一緒のクラスになってからなんか谷川さんが気になって、目でおってたらいつの間にか好きになってて…。春休み迄に告白しようと思っててんけど…朝からこんなハプニング、正直驚いた…でもラッキーやわ…こんなチャンス逃したらアホや…」
一旦話を区切って、私の頬を優しくもみもみする。私は、あまりの気持ち良さに眼を細める。そんな私を見て満足そうな彼は一呼吸して、再び話し出す。
「あんな…僕と友達からでいいし、付き合って欲しいんやけど…どうかな?」
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