reverie

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reverie

 字詰された流行りの音楽に溺れそうになる  迫りくる何かから逃げるように  余白だらけの昔の歌を再生したんだ  ちゃんと息してなかったと気づいて  久しぶりに深呼吸した  郷愁を思わせる音色が染み込んでいく  マーブル状にゆっくり熔けていく  変わりゆく日常なのに  変わらないと日々勘違いして  倫理に訴えかけた寓話を覗いてみる  ほんの少し凝った誰かのオリジナリティに  自分を重ね合わせたりなんかして  この世界を極彩色で象って伝える  寄せ集められたピースに一喜一憂して  何となくで真理が浸食し理解する  足元を歩く蟻と同じだった  空と大地のあいだに生まれる物語は  刻まれたり 刻まれなかったり  裏の裏を知ったふりして  冷めた感情のまま今日も笑う  集まる笑顔にたまに安心するけど  本当は痛みを抱えたその人達を憂い  明るい場所を求めて今日も渡り歩く  頼りなくふるえる絆を精一杯手繰り寄せ  そのリボンが手いっぱいになったなら  少しはこの世界にいた証になるのかな  余白だらけの歌に飽き飽きして  字詰だらけの音楽が新しいと感じたんだ  ゼリー状の海に揺蕩い  息をすることを忘れていたら思い出したんだ  あぁ夢の中にいるんだってこと    
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