Daydream〜ビッチな隣人〜

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「こんばんは」 隣の敷地から顔を出したのは、 1人の男性だった。 22歳の俺より少し年上? 黒のセットアップを纏い、 穏やかなオーラと 繊細かつ匂い立つ色気に目を惹かれた。 「引っ越してきたんだね。手伝おうか」 小さく首を傾げて、彼が尋ねてきた。 いい人そうだけど、煩わせるのは悪い。 「あ、いや……大丈夫、っす」 脊髄反射でそう答えた俺に、 「そっか」 と彼は小さく笑った。 「岸野って言います」 「あ、川瀬です」 慌てて立ち上がったら、 彼が驚いたような顔をした。 「背、高いね」 「あ、はい」 咄嗟の返しがうまく行かない。 ぎこちなく微笑むと、 「良かったら、一緒に晩飯どう?」 と彼に微笑み返された。 「あ、」 いいんですか?、と言おうとしたが。 「ああ、重い」 レジ袋を持った男が岸野の後ろに立った。 明らかにやんちゃで軽薄そうな同世代の男。 「何やってんの」 「お隣さんに挨拶してた」 「あの。俺、晩飯は済ませたんで」 ついでの野郎には用はない。 嘘をついて、岸野の誘いを断った。 「了解」 軽い会釈をして、椅子を畳んだ。
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