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そんな俺の間抜けな姿を見た有本は、今度こそ微笑以前などではなくて、手放しで笑った。
「二葉亭四迷の筆名の由来だって。言われてみると、そういう風に聞こえてこない？」
「聞こえて・・・・・・」
有本にそう指摘されて、改めて、
「ふたばていしめい、ふたばってしめー、あ」
と、口に出して崩し気味に発音してみた。
そんな俺を、面白そうに眺めていた有本へと向かって言い放つ。
「くたばっちまえ」
半ば本気で思った。
ただ、有本に対してではなく、有本の元カレに対してだ。
有本が超能力などでないのは、頭では分かっている。
しかし、何故だか俺が考えていることはすっかりと見抜かれている様な気がしてならなかった。
俺は、自分から進んで話題を変えてみた。
「准教って、国文学のだったのか？」
いくら俺の傘に入れてもらっている身とはいえ、有本にそこまで答える義理はない。
――我ながら、変える話題の選択を誤ったと思った。
しかし、俺の予想に反して有本は、
「うん。学部も全然関わりがなかったし、構内で会うこともなかった」
と、何の事無げもなく答えてくれた。
「・・・・・・」
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