2/7
前へ
/124ページ
次へ
 でも、結局は来なかった。  「単に、今日はたまたま都合がつかなかっただけ」というわけはないだろう。 断定、断言をしてもいい。  もしもそうだったとしたら、俺の傘に入ってくるようなことはなかった。 有本が言う、『愛々傘』をすることはなかった。  しかも、有本は俺へと話す際にはもう既に、『元カレ』と呼んでいた――。    どうやら、俺の予想は当たったようだ。 全然うれしくも何でない、『大当たり』だった。  決定打は、とどめは、有本自身が放ってくれた。 「でも、『もう、君だけの傘ではいられなくなった』って言われた」 「――『君だけの』って、一体どういう意味なんだよ」  有本の元カレが、自分自身を「降り注いでくる雨から護る傘」に例えてくるあたりから、俺にとってはもう理解不能の連続だった。  しかし、有本には納得がいっている様だった。 至極当然に、あっさりさっぱりと、 「他にも、傘に入れたい人がいたんだ」 と、言ってきた。 「・・・・・・」 俺はまだまだ全然納得がいかなくて、押し黙った。  ソレっていわゆる、『二股』って言うやつじゃないのか――。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加