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でも、結局は来なかった。
「単に、今日はたまたま都合がつかなかっただけ」というわけはないだろう。
断定、断言をしてもいい。
もしもそうだったとしたら、俺の傘に入ってくるようなことはなかった。
有本が言う、『愛々傘』をすることはなかった。
しかも、有本は俺へと話す際にはもう既に、『元カレ』と呼んでいた――。
どうやら、俺の予想は当たったようだ。
全然うれしくも何でない、『大当たり』だった。
決定打は、とどめは、有本自身が放ってくれた。
「でも、『もう、君だけの傘ではいられなくなった』って言われた」
「――『君だけの』って、一体どういう意味なんだよ」
有本の元カレが、自分自身を「降り注いでくる雨から護る傘」に例えてくるあたりから、俺にとってはもう理解不能の連続だった。
しかし、有本には納得がいっている様だった。
至極当然に、あっさりさっぱりと、
「他にも、傘に入れたい人がいたんだ」
と、言ってきた。
「・・・・・・」
俺はまだまだ全然納得がいかなくて、押し黙った。
ソレっていわゆる、『二股』って言うやつじゃないのか――。
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