アヘェアヘェ

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アヘェアヘェ

『おらぁテメェ寝たふりしやがって!』 しゃあんめぇ・・ここは団十郎よろしく演技等を! 「・・あゝ旦那・・!」 『・・あれ・・どうしたフラついて?』 「どうも風邪を拗らせたようでげす!」 ワッチの演技が上手いのか旦那が顔色が変わったでげすなぁ! 『食うもの食っているのか?』 「・・それが・・ほれご覧の通りでげして!」 ワッチはさも病人よろしく・・でげす! 『やや・・甘薯なんぞ食っていやがる!』 まぁ・・甘薯も銭が無いから・・でげすけどねぇ! 旦那がワッチの甘薯を見て少し慌てていやす。 『熱わぁ・・薬わぁ・・それより医者に掛かったのか?』 急に優しくなる旦那でげす。 そりゃそうでしょとも・・何しろ旦那はワッチの依頼主なんす! ワッチが仕事を受け無ければ・・旦那が・・ですげす! あゝもしかして・・御馳走(ゴチ)かもしんねぇ! 『しかしテメッエには前金十両も払って居るのに・・また鉄火場通いかぁ?』 あゝあゝ聞こえない聞こえない・・振り! ワッチが聞こえない振りが旦那には病で・・って感じでげす。 『・・耳鳴りでもするのか?』 「アヘェアヘェ」と仮病のワッチなんで・・げす! 仮病のアヘェが効いたのか・・旦那が焦りだしだでげすなぁ! 『・・だだ大丈夫なのかぁ?」』 「・・身体の・・力がぁ〜・・出やせんで・・げす」ここで旦那に追い討ちなんでげすけどねぇ! そんなワッチを見て旦那が言いやした。 『何か精の付くもんでも・・!』 ありゃまぁ・・もしかして"八百善"かもしんねぇ! お冷やいっぱい一両の"八百善"・・あゝ一度は食ってみたいのでげすなぁ〜! それにもまして・・漬物も季節外れの高級物なもんでげしょ、米も越後の高級米にて、お茶も宇治の高級玉露でげすからで! 旦那が番頭に言っては籠をこさえてくれるように走らせやした。 程なく籠が着きやした。
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