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へっ
座敷に通され座っては部屋の豪華な飾り物を見てやした。
そしたら・・旦那がワッチに聞きよった。
『・・江戸っ子がぁ〜甘薯なんぞ食いやがって・・何が食いたい?』
もちろんワッチはアヘェアヘェの声で言いやす!
「・・大蒲焼・・き!」ワッチは言ったでげすなぁ!
『・・大蒲焼きは季節がらでは無い・・ましてやそんな病み付きには脂は大敵・・"粥"でがまんせい!』
「・・粥・・って病人の食う・・あの粥・・でぇ?」
『当たり前だろうが・・テメェは病人だろうがぁ〜!』
程なく座敷に「粥」がぁ〜来やしたぁ〜」
それから程なく旦那の御膳に「大蒲焼き」もぉ・・来・・やしたぁ〜!
・・季節がらって言ったのぃぃ!
『どうだぁ〜匂いだけでも大蒲焼きを食った気がするだろぅ!』
『さぁこの粥を食っては大枚十両分をしっかり描いてもらうっちゅうもんだ国芳よぉ〜』
後で番頭に訊いたら・・!
あの粥って・・一両二分もぉ〜・・するで・・げす!
流石八百善・・ってそれなら浅草辺りの大蒲焼きを五枚は食えたのにぃぃ!
大版元加賀屋吉右衛門のクソ親父の策略にワッチはハマりよったでげす・・なぁ・・きっと!
歌川国芳後悔の念なりて!
終
して・・やられたわいなぁ〜!
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