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担任に忠告された翌日、教室は朝から騒がしかった。
地下通路の絵が赤い涙を流していた。ざわつくクラスメイトから、SNSに投稿された実際の写真を見せられた夏紀は、教室に入って来た翔真が着席する前に確保した。
「これ、いよいよ何かのメッセージだって」
自分のスマートフォンで検索した写真を彼に突きつける。翔真はまじまじと写真を見つめ、不安そうな声を出した。
「どういうこと、これ」
「どういうも何も、見ての通りだよ。被害者の幽霊がしびれを切らしたんだ。もしくは、絵にいたずらする誰かが」
「しびれを切らすって、犯人が自首しないから?」
教室の隅で鞄を背負ったままの翔真の台詞に、夏紀はそれしかないと腕を組む。
「俺は今でも幽霊説はあり得ると思ってるぜ。これは最終通告だな。無視し続けるなら祟るっていう」
「……これで、犯人が自首したりするのかな」
「俺ならしちゃう。だってヤベえじゃん。赤色は特にヤバいっていうし」
「それは心霊写真の話だよね」
ぼそぼそと会話をしていた二人だが、チャイムの音に仕方なく各々の席に着いた。教室で囁かれる噂話を耳にしながら、何としても原因を見つけてやると夏紀は改めて決意した。
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