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新居ができた
さて、いよいよ新居が出来上がった。
下はチラシで入っていた間取り図。参考までにどうぞ。
鍵ももらって、完全に引き渡しの日がやってきて、真理は新居に入った。
室内は全てをフローリングにしてもらった。
和室だと猫が汚した時に大変なのと、畳替えなどの事を考えると、全てフローリングが好ましいと思ったからだ。
でも、少しだけクッション性のあるものにしてもらっているので膝の悪い真理にはありがたかった。
すべてができたので、この段階から買いそろえる物も沢山あった。
これまでとは比べ物にならない広さになるのだ。
引っ越しが10月なので、その日程に合わせてエアコンなどもすべて作業が終わる様に準備をした。
まず、カーテンは全部買い替えなければいけない。
これまでは全てLDKだったので独立したリビングを真理は初めて持つことになる。
実家は店舗兼家だったので住居は狭く店が広かった。
リビングが独立した家は前の団地を含めても初めてだった。
真理が子育てをした団地は3LDKで4畳半が入り口に一部屋あり、水回りが反対側にまとまって付いていた。
キッチンはリビングと兼用で、他には6畳が2間ついている昔のタイプの公団だった。
新居は公団とはいっても、4LDK。総面積98.3㎡のお部屋だ。
広い方だと思う。
玄関横にドアがある5.5畳。この部屋だけクローゼットがない。
玄関の正面に部屋のドアがある、入り口側の5.5畳の隣の8畳。前はキッチンとつながる窓があったが、それはふさいで、床の間部分もすべてクローゼットになっている。
玄関を入って左が廊下になるが、その一番最初には日常的に必要になるものの物置のドア。
間取り図では洗面所にドアがなくトイレと向き合っているが、トイレは場所を変えず独立した。
玄関を左に折れた廊下の左手にはトイレの引き戸。
その隣には洗面所兼脱衣所の引き戸。脱衣所の奥にはタオル類を置ける大きなドア付きの物置。
その正面には9畳のキッチンへ続く引き戸。
廊下の突き当りには約9畳のリビングに入るドア。リビングにはクローゼットはないが、パントリー代わりになる物置がついている。
リビングとキッチンの間はアコーディオンカーテン。
リビングを右に進むと103号室と接する6畳の寝室。
リビングを左に進むと猫ケージしかない6畳の通称猫部屋。ここはリビングと引き戸で繋がっているが、普段は引き戸の前にソファーを置いているので引き戸は閉めておく。
この引き戸は唯一ドア系の中では白の木目調にした。部屋の真ん中に茶色の濃い色があると圧迫感があるからだ。
床とドアの色合い。リビングのソファーに座ったままキッチン、物入、寝室に続く解放されたドア。キッチン側の壁紙がほとんどの部屋の壁紙と同じで寝室側の壁紙だけ、少し色味が着いたものにした。
間取り図の見本と基本的にはほぼ変わっていないのだが、物入の扉や、ドアの色が全て統一されたものになった事で家の雰囲気がぐっと変わっている。
リビング側の3室からはベランダに出られ、リビング前のベランダからは庭に続く階段がある。
使い道の決まっていない部屋はやがては同居するかもしれない一郎のお母さんのための部屋だ。
その時の状況で、何の部屋にでもできる。
とりあえず、エアコンやリビングのソファー、カーテンなど、引っ越したその日から必要な物、揃えておきたいものは引っ越しの当日にすべて運び込んでもらう様手配した。
住んでいる家に届けてもらうと車の無い鈴木家では運ぶのに困るし、かといって、荷物をその都度受け取るのに新居に行くのは大変だったので、引っ越しの一日で荷物が届くようにしたのだ。
色味的にはクローゼットや物置を含め、全てのドアや引き戸は同じ濃い茶色で統一してある。
各部屋のドアには窓がないが、リビングと廊下のドアだけは明かりが見えるようなすりガラスっぽい縦長の窓がついている。
照明は引っ越し前に夫が考えた照明器具を全てLEDで取り付けた。
各部屋は天井に着けるタイプの一般的な電気。
リビングはシーリングファンのついた照明。これはキッチンと猫部屋にエアコンがないため、空気を拡散するのに必要だと判断したから。
廊下は玄関前と水周り前に分け、二か所人感センサー付きの照明にした。
夜中にトイレに起きたとき、目の悪い真理が電気を探さなくて良い様に、夜に帰宅したときに暗い玄関でわちゃわちゃしなくいい様に。
夏など、ドアを開け放っている時猫が探検したときにも電気がついてしまうことになるのだが、それはそれで、猫の締め出し防止になるので良しとしたい。
庭は、まだ色々してはいないが、雑草が取り払われ、蔓薔薇も切られ、後は一年間は様子を見て、ツツジや他の名前が分からない植栽の様子を見ながら管理を進めていくことにした。
一郎はカビ防止の為、リフォームの時に内断熱を施してあるので、後は荷物を置く時に壁から少し離して置けば、カビの心配もほとんどないはずだと真理を安心させた。
真理は新居に入ったと同時にあのカビの事などふっとんでいたのだが。
真新しい白を基調にした壁紙は薄く起伏のある模様がついているが殆ど真っ白に見えるほどだ。前にあったカビの残像すら頭に浮かばないほどに清潔だった。
一郎は建築関係の会社にいただけあって、
「リフォームはとにかくやれば絶対に新しくなるから見違えるよね。」
と、嬉しそうに言った。
賃貸派の一郎としても、ここは初めて持った自分の城なのだ。
真理は幸せだった。
そして、いよいよ引っ越しが近づいてくる。
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