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放課後になった。蓮との予定もないし、運悪く心愛とも他の女友達とも遊ぶ約束は取り付けられなかったため、1人で街中をぶらぶらしようと適当に歩いていると蓮の後ろ姿を発見した。私が蓮の姿を見間違えるはずない。少しの間つけて驚かせてみようかと思い、彼の跡を数分付けて見るが、動きはなく公園の木に寄りかかったままスマホを見てる。と、そのとき
「れーん、ごめっt、待った?」
恋人のようなセリフを蓮に向かって吹きかけたのは信じられないくらい見覚えのある彼女だった。
「心愛、おそい」
親友の心愛だった。
「仕方ないでしょ、私たち堂々と会えるような関係じゃないもん」
なんて少し頬を膨らませた心愛は慣れた手つきで蓮の腕に自分の腕を巻きつけて少し背伸びをして彼の頬にキスをする。蓮は拒むことなくそれどころか嬉しそうに少し照れた顔で微笑むんだ。
そのまま2人は背後の私に気づくことすらなく、寄り添うように公園を出ていった。
なぜだろう。先ほど見たのは偶然で、同姓同名の赤の他人ではないのだろうか。というかそうであってほしい。信じたくない、理解したくない。大好きな親友と恋人が私に内緒であってキスも当然のようなかんけいであることを。蓮の変化と、蓮からする甘い香りが心愛と一緒だということに今まで知らないふりをしていたこと。
気づきたくなかった、騙されたままでいたかった。
ほんと、さいあく。
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