シンデレラは帰らない

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「江東さんの…会いたいって、あの一言がめちゃくちゃ嬉しかった」 「…うん」 本当に幸せそうに笑う高知に、私は胸が熱くなる。 リビングで私に向かって座ったまま、両手を広げる彼の胸に私はすっぽりと入った。 モコモコの服を着た私は、まるでぬいぐるみのようだ。愛おしそうに彼は私を抱きしめた。 「江東…いや、京子さん」 私は彼の胸に埋もれたまま、クスッと笑った。 「はい、風真さん」 「…キスしていいですか?」 私はまた笑い、彼を見上げた。 「何で許可取ろうとするの」 私の言葉に彼は目を細めて優しく笑い、私の頬に手を添えるとゆっくり顔を近づけた。 「じゃあ……取らない」 そう言って彼は私にキスをした。 ――お母さん、オハナ。ついでにお父さん。 ごめん、今夜は帰らないかもしれません…。 後でそうお母さんに連絡を入れておこう。 シンデレラは0時の鐘が鳴って家へ帰ったけど、私はそんないい子のお姫様には、なれそうにない――。                    〜終わり〜
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