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「お疲れ様です」
「あ〜! 江東さん、きたきた!」
居酒屋に顔を出すと、すっかり酔いが回った様子の皆がこちらに顔を向けた。
古さを感じる厚みのない座布団が敷かれた、お座敷のような個室だった。集まったのは私を含め8人。店内は古めかしいが、味には定評のある店だ。
空いている席に通され、隣の寧々ちゃんがサラダや唐揚げなどを取り分けてくれた。
ご機嫌な長野さんの話に、若い二人の職員が聞き役に徹している。その隣には臨時職員の市川さんと村田さんが座っていた。
見るからに長野さんがお邪魔な様子ではあるが、これも付き合いだと思うと仕方ない。
席を外していた課長補佐の秋田さんが、私の斜め向かいに座った。私の前には高知がいる。
「お、江東ちゃん、ご苦労様。まだ皆残ってた?」
「お疲れ様です、秋田さん。うちの課はもう皆帰りましたよ」
そうかそうかと頷く秋田さんの隣で、高知はメニュー表を渡してきた。
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