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「高知、お前なぁ…。いつになったら覚えんだよ、それぇ! 寧々ちゃんに教えて貰え!」
彼、高知風真は、少しだけ覚えが悪い。
だけど日頃の一生懸命さは皆に伝わっているし、愛嬌があり憎めない性格をしている。
彼の隣の席にいる臨時職員の寧々ちゃんは、叱られながらもヘラヘラ顔の高知をクスクスと笑った。
寧々ちゃんは一年未満の勤務で任期満了となる臨時職員を2回経験している。コピーとりや事務補助の他、簡単な書類の記入なんかは、彼よりも彼女の方が詳しかった。
「いやぁ、寧々さんも忙しそうだし…」
そう言いかけて「しまった」という顔をする高知だったが、私が聞き逃すはずもない。
「私も? 忙しいけど?」
「わぁぁ、すみません!」
そんな私達のやり取りに、近くにいる職員達も毎度の事だと笑い合った。
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