上司のアナタと後輩のキミ

2/8
前へ
/63ページ
次へ
「高知、お前なぁ…。いつになったら覚えんだよ、それぇ! 寧々(ねね)ちゃんに教えて貰え!」 彼、高知(たかち)風真(ふうま)は、少しだけ覚えが悪い。 だけど日頃の一生懸命さは皆に伝わっているし、愛嬌があり憎めない性格をしている。 彼の隣の席にいる臨時職員の寧々ちゃんは、叱られながらもヘラヘラ顔の高知をクスクスと笑った。 寧々ちゃんは一年未満の勤務で任期満了となる臨時職員を2回経験している。コピーとりや事務補助の他、簡単な書類の記入なんかは、彼よりも彼女の方が詳しかった。 「いやぁ、寧々さんも忙しそうだし…」 そう言いかけて「しまった」という顔をする高知だったが、私が聞き逃すはずもない。 「私も? 忙しいけど?」 「わぁぁ、すみません!」 そんな私達のやり取りに、近くにいる職員達も毎度の事だと笑い合った。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加