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ドラッグストアに寄って、消毒液と絆創膏を買った。
高知は駅から程なくのアパートに住んでいた。
お風呂場の脱衣場でパンツスーツと少し血が付いてしまったストッキングを脱いだ。
若干大きめのスウェットパンツに足を通す。
上だけスーツなのも変なので、ついでにモコモコとしたボアのアウターも借りた。
仄かに香る柔軟剤。高知の匂い。
彼の香りに包まれている幸せに、つい小さく悶えてしまう自分がいる。もちろん部屋に戻る前には、普段の顔にスッと切り替えた。
「はい、こっち来て」
自分でやると言っても、足の手当をしたがる高知に渋々従った。
痛すぎる消毒液に悶絶し、それを高知が笑いながらも、私の踝に大きめの絆創膏を貼ってくれた。
「高知、この前の飲み会の…その…香川課長の事だけどさ」
改めて言い訳をしようかと話を切り出すと、高知は微笑みながら首を横に振った。
「いいです、もう。分かったから、俺のところに来てくれたって」
いつでもストレートな高知の言葉に、私は顔を熱くする。彼の言った事に間違いはないので、頷いておく。
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