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「江東さんって今、一人暮らしですか?」
「ううん、実家。高知は一人暮らしなんでしょ? ちゃんと掃除とかしてんの?」
ちょうど10歳離れている高知相手に、いつも姉のような母親のような気分になる。
仕事にミスは多いものの、社会人としてこれから成長をしていく段階だ。普段は口悪く叱る時もあるけれど、何も憎らしくてそうしている訳ではない。
「してますよ~、わりと家事とか好きなんで。江東さんこそ、実家だと料理とかしないんじゃないですか?」
高知は隣で、いたずらっぽく聞いてくる。
正直、図星だった。
寝て起きたら食事が出てくる。そんな生活から抜け出せずにいる。
「…やれば出来るから。やる機会がないだけで」
「へぇ~、そうですか。食べてみたいな、江東さんの料理」
職場を出ると、途端に彼は生意気になる。男性上司にはもっと可愛らしく振る舞うくせに…。
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