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入院
体育祭が終わり次は期末テストがやって来る。中学生になってから充実した生活を送っているからか、毎日が早くて気づいたら二学期もあと少しだ。
朝晩は冷え込み、冬の到来を告げる。
テスト一週間前に入り部活動が停止になり、由奈と朱里は図書館に通う日々。
いつも通り図書館に向かっている時だった。
「イタタッ……」
「ゆーちゃんどうしたの?」
「なんか、朝からお腹が痛くて……」
「大丈夫?送って行くから今日は帰ろう」
「う、うん。ごめんね。ありがとう」
朝起きた時から、時々感じていた痛みがだんだん強くなってきた。すぐに治るとやり過ごしていたけれど、ひどくなる一方だ。お腹をさすってみるも痛みは引かない。歩くときも痛みで体が前かがみになってしまう。
「私が荷物持つから貸して」
「えっ……。でも重いから」
「遠慮しないの」
由奈の荷物を朱里が持つ。荷物がなくなり身軽になるも、痛みが更に強くなっている。しかも、寒いはずなのに額には汗がにじむ。由奈の自宅までは、普通に歩けば十分くらいなのだが、このペースだといつ着けるかわからない。
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