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◇◇◇
「ただいまー」
「おかえり」
「あれ?お姉ちゃん、学校は?」
「今日はお昼までだったの」
由奈の姉の由香は、二歳上の中学生。由奈にとって頼りになる姉だ。一年間は、一緒の中学に通えることが心強い。
「お母さんは?」
「今日は夕方まで仕事だって」
「そうなんだ」
由奈が高学年になったことを機にパートを始めた母。由奈が帰ってくるまでに帰っていることが多いが、時々由奈よりも遅い日がある。
「明日卒業式だね」
「う、うん」
「寂しい?それとも中学が楽しみ?」
「うーん、どっちもかなぁ」
「なにかやり残したことはない?」
「えっ?」
「なければいいの。ただ、後悔しても時間は戻ってはこないから。迷っていることがあるなら、後悔しないようにね」
由香は、ずっと由奈が瑞希を好きなことも、瑞希が受験したことも知っている。そして、悩んでいることも……。
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