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誰もが青の一位はないだろうと思っていたのだが、バトンがアンカーに渡った瞬間から、一気にスピードがあがりぐんぐん前との距離をつめて行く。颯爽と駆け抜けて行く姿に、女子の黄色い声が至るところから上がる。
「南くんー」
「南先輩〜」
「キャー」
「カッコイイー」
どうやら、青のビブスの彼は南くんというらしい。南くん情報は、聞かずとも後ろの女子から聞こえてくる。
「あれって、野球部だった南先輩だよね」
「うんうん。四番でピッチャーでキャプテン」
「誰か告白してフラれたって言ってなかった?」
「4組の堀田さんじゃない?」
「あっ、そうだ!」
堀田さんは、一年生の中でも可愛いと言われている女子なのだが、少し性格に問題がある。何でも自分が一番でないと気がすまない。絵理香達のグループメッセージに入ってすぐに揉めた一人だ。客観的にみるとどっちもどっちなのだが、絵理香達と違い校則違反をしたり、学校をサボったりはしないので、まだまともなのかもしれない……。
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