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「野球部の南先輩だって」
「名前がわかっただけで充分」
「そうなの?」
「憧れの存在として、これからも遠くから見とくよ」
「しゃべりたいとかないの?」
「ゆーちゃんも見てたでしょう?かなりの人気者だよ」
「そうだけど……」
「身近なアイドル的存在かな……」
確かに、一年生から見ると三年生は遠い存在で、大人っぽく見える。同じ部活だったりしない限り、話をする機会すらないものだ。
「先輩に憧れて、学校で会えるかもと思うだけで、学校生活が更に楽しくなるよ」
由奈も、瑞希と学校が離れるというきっかけがあったから一歩を踏み出せた。同じ学校に通っていたら今でも見ているだけだったかもしれない。
初恋からの一歩は、かなりハードルが高いのだ。
由奈は朱里の気持ちも痛いほどわかるので、応援はしつつ見守ることにする。お互いの初恋の恋バナで盛り上がるだけで楽しいのだ。
体育祭は、由奈達のクラスの赤チームが優勝した。玉入れで、少しでも貢献できたと思うと嬉しい。
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