658人が本棚に入れています
本棚に追加
「学校帰りなので、スマホを持っていなくて……」
焦ると上手く説明できない。
「落ち着いて。あなたのお母さんの番号はわかる?」
「わからないです……」
「お友達のおうちの番号なんてわからないわよね……。あなたの自宅の番号は?」
「お母さん、多分今日は家にいないです」
「じゃあ、学校ね。そこの中学よね?」
「はい」
スマホで中学校の番号を調べてくれて、電話をかけてくれている。電話に出た先生に今の状況を説明してくれているのだ。
「体調が悪い子の、クラスと名前を聞かれているわ」
「1年2組の竹内由奈です」
「あなたは?」
「同じクラスの北川朱里です」
そのまま伝えてくれて、「わかりました」と電話を切った。
「真鍋さんってわかる?」
「はい。真鍋先生は一年生の先生です」
「その方が出て、今から竹内さんのお母さんに連絡を入れて、こちらに向かうって。あなたも不安だと思うけど、竹内さんに付き添ってもう少し待ってね」
「はい。ありがとうございました」
「お大事にね」
親切に連絡をしてくれた母親は、自分の子供に呼ばれて滑り台に行ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!