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「ゆーちゃん、大丈夫?連絡してもらえたから、もう少しの我慢ね」
「あ、ありがとう……」
痛みで由奈の意識が朦朧としてきている。今まで経験したことのない痛みに、薄っすらと涙が滲む。
数分しか経っていないのに、何時間も待っている気になるほど由奈は我慢の限界に達している。
「竹内さん、北川さん!」
「大丈夫か?」
真鍋先生と由奈の担任が、公園の前に車を止めて走ってくる。
「先生」
「北川さん、不安だったわね。今から竹内さんを病院に連れて行くけれど、一人で帰れる?」
「はい」
「じゃあ、急ぐから行くわね」
緊急事態でゆっくり話をしている暇もなく、担任が由奈をベンチから抱き上げ連れて行く。朱里は、先生の車を見送ってから、公園の中を見回してみたが、連絡をしてくれた女性の姿はなかった。気が動転していてお礼しか言えなったが、名前を聞いておけばよかったと後悔する。
由奈が心配だが、今朱里にできることはないので、連絡を待つしかない……。
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