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17時を過ぎたころ、『コンコン』と四人部屋の共同の入口の扉からノックの音が聞こえた。誰の来客かはわからない。
「由奈ちゃん。起きてる?」
突然の予想外の声がカーテンの向こう側から聞こえた。
「え?はい。うん。起きてる」
驚きすぎて返事がおかしくなってしまう。
「入ってもいい?」
「あっ、うん」
返事をしながらも慌てて手ぐしで髪を直し、服装をチェックする。と言ってもパジャマなのだが、お気に入りのパジャマを着ていて良かった。
「大丈夫?」
心配顔で入ってきた瑞希は、制服姿で学校帰りに直接来てくれたようだ。
「うん。どうして……」
「昨日、たまたま朱里ちゃんに会って、由奈ちゃんのことを聞いたんだ。心配で、母さんから由奈ちゃんのお母さんに聞いてもらった」
「わざわざありがとう」
「元気そうな顔を見られて安心した。あっそうだ。これ」
瑞希から渡されたのは、可愛くラッピングされたクッキーと交換ノート。
「もし、時間があれば交換ノートに色々書いておいて。退院して僕にノートが回ってきた時に読むのを楽しみにしてるよ」
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