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二日目
過去、身近に感じた死。
一つ目は母親だった。小さかった俺にはよく分からなかったが、冷たく眠ったままの母親が目を覚ますことはなかった。
二つ目は父親だ。事故だったせいで最期を看取ることはできなかった。
三つ目はなんて事のない、ただの通り道で──。
午前十時。
三「おかしくない?」
理解はしつつも、建物内に七番がいないか探しているときに三番がおもむろに口を日開いた。
「何が?」
三「窓も含め出入口はすべて塞がれてるのに二人はどこに消えたの?」
最もな質問だ。俺たちは出られないにも関わらず二人は完全に消えた。もちろん俺たち以外に人影もない。でも人為的要因なしではありえない。
可能性があるとすれば、例えば、
三「どこかに抜け道があって、こっそり抜け出してたりしてね」
十「これだけ探して何も見つからないんだ、そんなことはない」
三「……そうね」
結局いくら探そうが七番も五番もどこにもいなかった。
「……」
動き回ったせいで口と喉がいやに渇く。お腹は空いていないが、体は栄養を求めているはずだ。それに気付いてしまったらどっと疲れがくるに違いない。
十「大丈夫そうだな」
「うん、なんていうか、実感がまだ……」
なんのリスクも背負ってないからか、俺は別に乱してはいなかった。むしろこのゲームが進むにつれて冷静になっていく。
十「目の前で見てるわけじゃないしな」
「……?」
冷静なのはどうやら?
ゲームから除外された二人は目の前で死んだわけじゃない。見えもしないまま消えた。だからこそ誰も「死」という恐怖にまだ気付けていない。
俺にはその恐怖がないから。なんとなくそのことを濁した。
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