一日目

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 「それで?もう一度聞くが、誰かこの状況について説明できる人は?」  「……」   全員がお互いを見回すだけで誰も何も言わない。  「じゃあ反対に何も分からない人は?」  「……」   全員が静かに手を挙げた。つまり全員が俺と同じということらしい。  「……まいったな」   落胆の色だけが目に見える。  「ま、まあ、とりあえず自己紹介でもしますか?何かの縁かもしれませんし……」  「別に番号でいいんじゃない?こっちは見ず知らずの男どもに個人情報を教えたくはないんだけど」   さっきから嫌な感じだな。言い分は分かるが言い方ってものがあるだろうに。  「そうだな。誰も面識ないみたいだし、女性はその方が安心するだろう」  「番号……」  「ほら、ここですよ」   隣の親切な人が指さした椅子の背中の部分に番号が振られていた。  「見にくいな……」  「あとここにも」   胸の部分に番号のついた布が洋服の上から縫い付けられている。最初からこっちで教えて欲しかったな……。  「四番ですね。ちなみに僕は五番です」 十「なるほど。時計の盤面のような配置で番号が振られてるみたいだな。数字は十までしかないが」   ずっとこの場を仕切っているあの人は十番か。 二「それでどうするわけ?」  「どうするって、とりあえずここから出ません?」 二「出られないから困ってるんだけど」  「え?」 十「窓も含めた出入口が全部外側から鉄板か何かで塞がれてる」  「あれ、二階のギャラリーのところの窓は開いてるんじゃ……」 十「ああ。だけど二階に行く手段がなかった。逃げ出せないよう徹底されている」 二「あんたが寝てる間にいろいろ調べ終わってるわけ。分かった?お寝坊さん」   どこまで嫌な感じだ。言い返せないのがまた腹ただしい。 八「どうする?集められたのには何か理由がありそうだけど……」 九「だろうな。食料も一応あったわけだし」   まさか殺し合いでもさせられるんじゃないだろうな。嫌な考えがよぎる……そうでもないか。 七「ねえ、あれ」   体育館のステージに下ろされているスクリーン。そこに文字が映し出されている。 『今からあなたたちにはゲームをしてもらいます』   映画や漫画でよく見るありがちなワンシーンだ。
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