一日目

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  「……」   選ばせるだけ選ばせて何か指示が映し出されるわけでも、誰かが入ってくるわけでもなく、何も起こらない。  二「なんで何も起こらないわけ?」  六「時間に間に合わなかったとか……?」  八「それじゃあ、まさか全員……?」   何人かが十番を見た。この場を仕切っている十番のせいだと決めつけての行動だろう。  十「そんなはず……」   十番がしゃべりだした瞬間だった。  二「ちょっと何!?」   視界が一気に真っ暗になる。天井の電気が消えたんだ。外は夜な上に曇っているから真っ暗で、この建物の周りには何もなく、もちろん外灯もない。   急に視界が暗くなって誰もがパニックになり、騒ぎ出す。これから何が起こるのか分からないという恐怖ゆえに仕方のないことだった。  十「電気が消えただけだ!落ち着け!」   この場をなだめようとする十番の声もすぐに掻き消える。   「……」   俺に恐怖はなかった。自分に対しては何が起きようとどうでもよかったからだ。何もすることがなくじっとしていただけ。だけどこの暗闇にまだ目は慣れない。   「……」   隣り合った番号。隣り合った席。何もしないでじっとしていただけ。   だからこそだ。だからこそ聞こえてしまったんだ。きっと俺にだけ。  五「   」   ……え?   五番が呟いた意味深な言葉。俺ならまだしも、何故この状況でその言葉を口から吐けるのか、理解ができなかった。   「今のどういう……」  五「え、なっ、なにをっ……!?」   遮られた俺の声。   なんだ?小さな音でドタバタと、隣で何かが起きている。  七「な、何?何が起きてるの?」  九「五番の声だよな!?おい!どうした!?」   異変を感じたのか、誰もが五番へと意識を向けた。まだ暗闇に目が慣れないせいで何も見えない。きっとそれはみんな同じで、五番に何が起きてるのか確認のしようがなかった。  五「ぐ……がはっ……や、やめっ……」   弱々しい声が聞こえた後だった。  十「お、おい?」   ゴキッ。   何かが折れるような鈍い音が一度だけ響き、静寂に溶けていった。そしてその数秒後、何事もなかったように明かりが戻った。   「……」   明かりがついて九人が最初に見たもの、それは、五番がいたはずの場所。   「……」   九人の視線の先にあったのは、(あるじ)を失って虚しく佇んでいる「五」という数字が振られた椅子だけ。他には何も
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