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唯一の存在を失った私は兄の後を継ぐかのように話し方も変えた。
ちょっと乱暴な、レデイースっぽい雰囲気から、お嬢様風のファッションに変えた。
親族にも、
「柊夜の女の子バージョンね。」
と言われるくらいに。
よく食べるものも変えた。
前はマカロンだったが、兄の好きな食べ物であるモナカになった。
いわゆる陰膳と言うやつだ。
兄の好きな花は、桜だった。
今、私は兄が好きだった、桜に包まれている。
オフショルダーのシフォンワンピースを身にまとい、ブランド物の大きめのカバンを持って。
兄が好きだった桜は、私の心を優しく包んだ。
私は、そっと目をつぶった。その時だった。
「行ってきな。」
そう、兄に似た声が聞こえるとともに突然の浮遊感に襲われた。
そのまま私は意識を失っていた。
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