パンとカレーでお喋り

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パンとカレーでお喋り

 翌日、ベルウッド駐屯基地に楽しげな声が響いた。  その日は丁度、基地の一般開放日で広い演習グラウンドに並ぶ軍用車両や戦車を前に人々は記念写真を撮ったり、兵士達が振る舞う豪快な炊き出しに舌鼓。  中でも訪れた人々の目を引いたのは、他でもない究極兵器デュアリオンであった。 「…あの、本当に一般公開して良いんですか?」  戸惑う声を漏らしたのは戦闘服姿のカルディナだった。  これより、この基地の責任者である第五師団長の要望で、エクストレイン少佐を筆頭とする戦闘機三機と共にデモンストレーション飛行することとなった。 「まあ、このご時世パフォーマンスも必要だから…」  そう言うヴォクシスだが、その顔には微かに困惑の色が見られた。  どうやら彼も上のゴリ押しに負けたらしい。 「…あんまり乗りたくないんだけどなぁ……」  ボヤいても仕方が無いが、ストレスの発散に言葉を漏らした。  現在、国としてはデュアリオンと魂授結晶(セルシオン)付属戦闘用ボディによる機械竜二機での軍事運用を検討している。  エルファ島滞在中もデュアリオン単体で活用出来るか起動調査を行い、カルディナが操作する限りはその安全性が確保されつつある―――が、やはり過去に大きな事故を起こしただけあり、不安は拭い切れない。 「セル、行くよー」  定刻となり、渋々ではあるが観衆が見つめる中、鎮座するデュアリオンへと向かう。  一足先に駆け出したセルシオンはその身を小竜から花弁へと崩し、風に舞いながら巨躯へと融合。  手を差し伸べるように、ヘルメットを被りながら歩み寄るカルディナを前足に乗せ、背中の搭乗口からコックピットへと招き入れた。 「格好良い…」  日差しを浴びて輝く白銀の姿に、見つめる子供達は目を輝かせる。  軽やかに羽撃き、浮き上がった守護神の姿は見つめる人々を容易く魅了した。 『機械竜、正常。これより飛行訓練を開始します』 『『『了解』』』  上空にて合図を送り、手筈通りの訓練を開始。  戦闘機と共に空を駆けるカルディナとセルシオンは、舞い踊るように夏の薫りを纏い始めた風を切った。
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