File 01:トイレのあの子

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しぶしぶを装い、彼と共に部屋を出る。 笑顔で対応してはいけない。 彼を調子づかせるだけだ。 素のままで過ごしていたら、 いつか彼に気づかれてしまうかもしれない。 楽しそうにしている彼の斜め後ろで、 その姿に思わず緩みそうになる頬を抑える。 すでにこれが日常になりつつある、 そんな俺は三宮(さんのみや)(たすく)だ。 「……で?どこに行くんだ?」 「まずは、そうだな……トイレにしよう!」 ここから一番近い所だし、と彼は言った。 「どんな噂なんだ?」 「えっ、与知らないの?!」 d5dd2927-783a-4909-8b93-e7f304213771 「まあいいや、教えてあげようじゃないか! あのな、この寮の1階の大浴場内のトイレ そこの右側の個室にはあの子がいるんだ」 e75e513d-71e9-4d4d-95b6-df6e1130cc41 ……誰が居るって? 「どの子?」 「あの子!」 「どの子だって?」 「あの子だって!」 何度問うても、同じ答え。 だから誰だ。
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