File 01:トイレのあの子

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「……別に風呂に入りたい訳じゃないのに……」 ふくれっ面で千秋は呟く。 俺の予想通りに、大浴場には入る事が出来なかった。 ブツブツ言っている千秋の手を引き、予定通りに食堂へ向かった。 各自の食事を乗せたトレイを持って空席を探していると、クラスメイトに手招かれる。 「こっち空いてるよ」 丁度2人分。 千秋と並んでその席に座った。 「んで千木良、お前なに機嫌悪そうなの?」 顔にそのまま表れている不機嫌さに、俺以外の奴も気づいた。 e5359d7d-8333-4842-a469-7d597479abbe 「トイレのさー、あの子を見に行こうと思ったのに追い返されたー」 「ああ、あの子かーまあこの時間じゃあな」 俺が知らなかっただけで、トイレのあの子というのは有名らしい。 「食べ終わったらそろそろいい頃だろうから、また出直せばいいだろ?」 慰めるようにクラスメイトは言う。 千秋は、それもそっか!と一気に機嫌を直した。 ……単純すぎるだろ。 そして遊ぶように食べていた箸の動きをまともなものにし、勢いよく食べ始めた。 「……早く食べ終わっても、 時間は変わらないからな?」 解ってはいるだろうけど、念の為そう言ってみる。 1cbddd6d-fa92-44dd-a9e8-c3ecf13f1fef 「…………そうだね」 途端にスピードが落ちて、言ってよかったと俺は思った。 b417127d-82f3-49c3-804a-647196c71bf0
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