File 01:トイレのあの子

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「で、あの子って一体どういう話なんだ?」 誰でもいいから、詳細を教えてくれないだろうか。 「三宮は知らないの?」 「でもまあ、とにかく行こう!」 しかし何故か誰も教えてくれない。 千秋はといえば、教える教えないどころじゃなく、嬉しそうににやけてカメラをチェック中だ。 きっと俺の質問は聞こえてさえいないんだろう。自分の世界に没頭中。 そうこうして、大浴場へと到着。 2fc8d626-81ca-4bd1-804d-3404d16ebfe8 「あ、ゴメン。俺トイレ行きたい」 とりあえず脱衣籠を確保しようとした所で、俺は皆に告げた。 「え?行くの?今?」 「っつーかトイレのあの子の事で来たんだろ?」 大浴場の近くには他にトイレは無く、 この中のトイレへ入るしかないだろう。 「一番に入りたいの?それとも普通に尿意?」 クラスメイトの内の1人がそう尋ねる。 後者だと答え、周りには他に人も居るし、別に暗かったり嫌な雰囲気を醸し出している訳でもない。 ごく普通のトイレにしか見えないそこへと足を進めようとする。 「いや与、まっ」 千秋が何かを言おうとして、それを他の奴が止めた。 「ほらほら、早く行ってきな」 「あの子に会えたら教えてね!」 「……気をつけろよー」 口を塞がれてもがいている千秋が気になるけれど、致し方ない。 誰よりも先にトイレに足を踏み入れたい彼の気持ちは解る。 けど、たまには諦めてもらおう。 俺はトイレへ繋がるドアを開けた。 e6353817-de73-4119-958f-ff358005ba6f
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