冬の足跡

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そうこうしているうちに、本格的に雪が降り始めた。 あぁ、寒い。身体が濡れちまう。漫画の新刊なんて、1冊とってレジに持って行けば済む話だろう。それなのに、いったいどれだけの時間がかかっているんだ。まぁどうせまた、他の漫画も欲しくなって物色しているんだろうけれど。 いや、違う。 もしかすると、目当ての本を見つけられないでいるのかもしれない。あいつ、昔から探し物が下手だったからな。 ―――奈々子とは、もう15年以上の付き合いになる。 多分、俺は奈々子以上に、奈々子のことを分かっている……と思う。だって、いつも見てきたし、どんな時も傍にいたんだから。 ……でも、そんな時間も、きっとあと少しで終わりだ。
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