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 3 「ん……」  笹枝はゆっくりと目を覚ます。今日は農業イベントの日で、目的地までの無料シャトルバスに乗ってからの記憶がまるでない。  寝て起きてすぐのぼんやりとした視界だと、そこはバスの中ではないようだ。だとしたらイベント会場なのだろうか、と考える。 「えっ!!」  目の前には花柳がいた。彼とよく似た顔の人か、と思ったが、顔のほくろの位置や耳の形も同じだ。花柳の静止画は穴があくほど見た。自分が彼を見間違えるわけがない、と。  笹枝はその場から起き上がろうとした。その瞬間、左手の小指に引っかかりを感じる。 「これはなに?」  小指には赤い毛糸が結ばれていた。その糸は花柳の小指と繋がっている。運命の赤い糸を模しているのだと感じた。
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