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「久しぶり、花火大会に行くの?」
「うん」
「誰かと一緒?」
「いや、ひとり。川瀬は?」
「俺もひとり。あのさ、トイレわかる?
案内してくれない?」
川瀬は浴衣の真ん中、
合わせの部分を押さえながらモゾモゾした。
「ははっ、再会していきなりそれかよ」
僕は川瀬の手を引き、
神社のトイレに続く階段を登り始めた。
しかし相変わらず、カッコいいな。
色素の薄い髪と瞳が印象的。
目の覚めるような端正な川瀬の顔立ちは
秋の夕方、
薄暗くなってきた午後5時半の
街灯の下でも映えていた。
そう言えば僕の初恋の相手だったと
ドキドキした。
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