才能か愛か?

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才能か愛か?

 作品の中にこのような文章があります。 『才能があっても愛に恵まれない人生を送るか、才能を捨てて愛に満ちた人生を送るか。  どちらかを選べと聞かれたら、私はどちらを選ぶんだろう?』    果たして作中でアヴリルがどちらを選んだか?  おそらくは愛だったと思います。  ミハイルがアヴリルのオーロラへの愛の証であるCDを海に投げ捨てる行動は、クラウンを演じることによって自分と同じように傷ついてほしくないために、何としてもオーロラへの気持ちを諦めさせようとしたがための一種の愛情であったといえます。  が、アヴリルはCDを追いかけて極寒の海に飛び込みます。この場面からもアヴリルが愛を選んだことは明らかです。  そもそもアヴリルには、クラウンを演じることで有名になりたいとかお金持ちになりたいという欲は全くありません。彼女にあるのは純粋に周りの人を笑わせたいという気持ちだけです。苦しいことがあったとしても誰かの笑顔を見るためだけに道化を演じる。これは愛に他なりません。  彼女の場合社会的地位には無頓着で、仲間や家族、観客、そして愛する人を笑わせたいという愛の先にサーカスやクラウンがあります。なので、彼女が愛を選ぶのは必然的な行動であったといえます。
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