アヴリルとオーロラ

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アヴリルとオーロラ

 初めに説明するとオーロラは元々、『ロマンドール』に出てきたちょいダサ悪役ニコルの恋人という設定にしてました。でも、ニコルを試しに『ロマンドール』の悪役にしてみたらこれがハマり、結局オーロラとの絡みは無くなりました。笑  そんなこんなで『Mr. ビーンも真っ青な』でエスメと恋人になるわけです。オーロラには『家族を作りたい』という願いがありました。ここは詳しくは述べませんが、その願いも虚しく彼女はエスメに散々な裏切り方をされ、エスメの相手の男もまたクズで、とんでもないリベンジ物語に発展していきます。  こんな感じで散々な形の失恋をしたオーロラですが、なんとしても次の恋は挽回して幸せを掴んでほしい! という切実な願いがありました。しかし、まぁ相手が決まらない! こんなにカップリングの相手で悩んだのはオーロラと『草花の祈り』のクレアくらいですね。  でもある日ふと、『Mr. ビーン』で3ページだけ出てきたアヴリルと車で喋ってるシーンを書いたときのことを思い出しました。このときなんかこの2人いいなって思ったんですよね。実際『ライオンガール』を中盤まで書いてみて、この勘は確かだったと確信しました。優柔不断で心配性でネガティブ思考、愛情深く寛容な性質のオーロラと、軽いノリもできてポジティブさもあり、好きなものに真っ直ぐに向かっていく行動力と精神的強さを持つアヴリルは、このうえなくピッタリなカップルでした。2人は昔からお互いのことを知っているし、両方とも芸術的センスを持っていて、依存しあうことなく苦しい時でもお互いを励まし合い高め合っていける相性なのかなと。  オーロラは母性本能強すぎるがゆえに育児を頑張りすぎてパンクしそうなタイプです。が、アヴリルというパートナーがいれば支え合って笑い合いながら子育てができそう。そしてサーカス列車という環境の中であれば、普段と違うインスピレーションを得つつ、サーカスの仲間たちとともに大きな家族となって子育てを楽しんでいけるかな〜と。  ちなみにですがオーロラの告白の返事も最初の完結時と書き直したあとでは変わっております。最初はアヴリルに告白されてすぐ「いいわ」って答えることにしてたんです。でもそれだとあんまりあっさりすぎるなと思い、返事はラストショーの後にして、かつ「あなたと生きてく」という台詞に変えました。その方が自然で現実味があり心に響く気がしたんです。そして海のように広い心を持つオーロラなら、アヴリルが助け出した子どものことも愛情をもって受け入れるだろうなと。何よりアヴリルとパートナーになるだけじゃなくサーカス列車でハーパーを育てることで、家族という形がより明確になりオーロラの夢が最高の形で成就するのだと思いました。そのような考えがあってのあのラストでした。  しかし、ラストと回想シーン以外ほとんど登場しないというのに、オーロラの存在と影響の大きさには書いていて驚かされました。それもこれもオーロラの物語をすでにいくつか綴っていて人物像が出来上がっていたから、アヴリルとの関係性も描きやすかったのかな。  戦地で助け出され2人の子どもになったハーパーの名前は、『ハープ奏者』という意味です。混乱の中で生まれた彼女が、ハープの音色のような癒しを皆に運んでくれることを祈っています。
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