エピソード20 帝都の吸血鬼 その1

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3戦目は。ステゴロつまり素手の殴り合いだ。 拳を痛めないよう革の手袋を装着しての勝負だった。 勝敗は、実にシンプル。 どちらかが動けなくなるか、戦闘不能にしたら勝ちって話だ。 3戦目の相手は、ジダンの4人の副長の1人、アクロス。 アクロスはジダンの弟で、装備はアサシン。 長身で、アルシッドほど筋肉質では無く、むしろやせ形の体型である。 俺は、アクロスをスピードタイプだと完全に思っていた。 いざ、試合開始と同時に放ってきたパンチは、強烈な一撃だった。 俺は、咄嗟に肘でガードした。 それでも後方に飛ばされ、パンチを受けた左腕は痺れて動かせそうになかった。 開始早々、左腕は使用不能か・・・。 まずいな、油断したか・・・。 仕方ない、チートスキルを使うか・・・。 今まで一度も使った事は無いが、やむを得んな・・・。 格闘スキルハードキル発動・・・。 アクロスが、今度は連打を仕掛けてきた。 単調な連打なんだが、一撃一撃が重い。 下手なガードは命取りになりかねない。 ならば、攻撃するのみ。 アクロスの右テンプルを狙ったフックを左掌底突きで防ぎ、右ボディブローを叩き込んだ。 アクロスは大きく後方に下がり、脇腹を押さえていた。 あれ? アクロスって、意外に脆い・・・。 それともスキルの効果か・・・。 俺にとっては、どちらでも良かった。 素手の勝負なんてこの入団試験以外使いどころが無いからな・・・。
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