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取材班は、しばらくの間、埋蔵金探索パーティと行動を共にすることにした。彼らによると、この地下ダンジョンには先ほどのような魔物たちが多数闊歩しているというのである。そして、それらを討伐するパーティもまた引きを切らないという。その多くは、埋蔵金目当てであろう……。
我々が焚き火を囲み腰を下して野営していると、青年戦士ジムと少女魔法使いセリカの様子が明らかにおかしいことに気付く。
セリカは、魔法戦士などという物騒なイメージなど微塵もない、年頃の可憐な美少女である。その少女が、凛々しい目鼻立ちの青年剣士ジムの手を、恥ずかしげに暗がりで握り締め身を寄せている。その光景は、殺伐としたダンジョンの空気をひととき和ませた。
「ジム兄ぃ……」
彼女の切なげに消え入るような呟きに促され、ジムは恥ずかしげに瞳を潤ませたセリカの、魔法使いらしい華奢な手をとり、共に暗闇へと消えてゆく。
それを不思議そうに目で追った隊長に、パーティのリーダーマーク二世が耳打ちした。
「心配いらんよ。二人は愛し合っている。この旅を終えたら、一緒になるつもりらしいからな」
「あぁ」
若い高鳴りを抑えきれない二人の後姿に、悟った隊長は心の中で祝福を送るのであった。
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