ガーニムの本懐と、ファジュルが思い描く未来

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「その理想の国とやらを俺が見ることがないのは幸いだな。俺はお前のこともアシュラフのことも大嫌いなんだ。殺すならさっさと処刑台に送れ」 「そんなの嫌です、ガーニム様っ」  シャムスの手を振りほどき、マッカがガーニムに手を伸ばした。  ファジュルを見上げて泣きながら訴える。 「お願いです、ガーニム様を処刑しないで。殺すなら、罪人として処分するというなら、ワタシも一緒に……」 「なぜ、俺と一緒に死ぬなんて言える。馬鹿なのか貴様」  ガーニムにはマッカの気持ちがわからない。  好いた男がいたかもしれないのに、人質として無理やり妻にした。誰がどう見てもマッカの心を無視した結婚だった。  なのに、ともに死ぬと言う。このままガーニムといれば、本当に処刑台送りになりかねないのに。 「馬鹿で結構です。ワタシは最後までガーニム様と一緒にいます。要らないと言われてもついていきます」  本当に、なんて馬鹿な女だ。愚かすぎて、笑う気にもならない。殺されてもいいから離れないなんて。
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