新しい時代の夜明け

2/5
前へ
/273ページ
次へ
 ほどなくして前線に出ていた反乱軍が帰還する。 「ふふふ! オレって強いから楽勝だったぜ」 「すごいよサーディク! 惚れ直しちゃった。またウチと付き合わない?」 「だめよ、サーディクはワタシの旦那様になるんだから!」 「いいえ、わたしと!」  サーディクのかつての恋人たちが、よりを戻そうとサーディクにすり寄っていく。  反乱軍結成のとき、「勝ってハーレムを作るぜイエーイ」と息巻いていたので、目標達成じゃないだろうか。 「ふぅん。良かったじゃないサーディク。ハーレムでも作れそうね」  エウフェミアにいつもより格段に冷たい視線を送られ、サーディクが震え上がった。  王国兵と戦うときですらここまで怯えない。 「聞いてよルゥルア〜。サーディクってばおっかしいんだよ! 勝ったってわかった途端エウフェミアに抱きついて結婚してくれー! ってプロポーズしてさぁ。エウフェミアが答えを保留している間にこの事態」 「……うーん。サーディクらしいね」  ディーが状況説明しながらケラケラと笑う。  他人の修羅場が笑いのタネになるタイプらしい 「オレにはエウフェミアだけって言ったのも口だけのようね。プロポーズもお断りするわ」 「だーー! 待ってくれー!」  足早に立ち去るエウフェミア、真っ青になるサーディク。過去の女遊びが原因なので、サーディクは半泣きだ。 「ごめんサーヤ、シヴァ、クタイバ。オレはエウフェミアと結婚したい。だからもうきみたちと付き合えない」  深々と元恋人たちに頭を下げて、エウフェミアを追っていった。  ディーが二人を目で追い、笑いをかみ殺しながら聞いてくる。 「くっつくと思う? 振られると思う?」 「あのね、ディー。人の恋路を笑うのは良くないわ。本人たちが解決する問題よ」 「うへぇー。姉貴みたいなこと言わないでよ、ルゥルア」    こうやって人の惚れたはれたをネタにするたび、ヘラに怒られているんだなというのが今の一言で察せられた。このぶんだとディーは、一生お姉さんに頭が上がらない気がする。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加