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「全くもう。旅に出るのは戦争の後始末が片付いてからいくらでもできるでしょ。お土産買ってきてあげるから元気だしなよ」
「おみやげ、ですか」
「そ。ルベルタでしか見られないもの買ってくる。それならいいでしょ」
途端にイーリスが笑顔になる。
「私、来賓の貢物以外でなにかをもらうのは初めてです。たくさん買ってきてくださいね」
イーリスはずっと王女として暮らしていたため、ご機嫌うかがいの貢物ならいくらでももらう機会があったらしい。
個人的な贈り物をもらうことがない。だからお土産への期待値がどんどんと上がっている。
「わぁ……そんなに期待されても、たいしたもの買えないって。ボクってば、責任重大? 余計なこと言っちゃった?」
ディーは苦笑しながらも、ラクダの背に乗ってルベルタに向けて発った。
「俺たちも行こう、ルゥ。まだガーニムと話し合わないといけないことがたくさんある」
「うん」
ここからが本当の革命。
貧民という身分を廃し、誰もが人として扱われる国に変える。
いまお腹の中にいる我が子が、明るい未来を送れるように。
ルゥルアはファジュルに手を引かれ、並んで歩き出す。
これからも、こうして手を取り合って困難を乗り越えて行こう。ずっと、一緒に。
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