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「まぁ、貴女のお父様からは色々お聞きしてましたものでね」
「そうでしたか」
それにしても、色々知りすぎていることに、疑問を抱きながら帰路を辿った。
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「何をしていたのです!」
屋敷に帰るなり、母に玄関先で怒声を畳みこまれた。目はつり上がり、口角をとがらせていた。この母の怒りっぷりから見て、屋敷では大騒ぎになっていたと理解した。
「申し訳ありません。お母様」
後ろにはハラハラした、トメと湯江が立っていた。憐みの目で私を見る。
「奥様、大丈夫でございますよ。どうやら侯爵令嬢のむね子姫に、私の後をつけて欲しいと頼まれたみたいです。そんなに怒らないであげて下さい」
正直に言い放った中田さん。それはそれで、ギョッとした。母の顔色が少し柔らかくなった。
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