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しかしそれを承知でむね子嬢は私に中田さんのことを少しでも良いから知りたいから、調べて。と、言ってきたのだ。私にそんなことを頼むとはきっと、その方がお好きではないのだろう。
「公爵家の島原義一様よ」
「え!」
元は榊藩の百十万以上の藩主だった。お父様は貴族院の議長。親子揃って貴族院である。
「義一様は、去年、貴族院になられたばかり。それなりの家のお嬢様を娶らなければならないから、むね子様が選ばれたのよ」
「なるほど」
そのことについて、むね子嬢は触れなかった。やたらと今日は一日、中田さんのことで必死だった。
「あの方、今日、そんなこと言ってなかったけれど」
「まぁ、仕方ないと思っている輿入れですもの。内心は嫌なのよ」
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