むね子嬢の婚約パーティ

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 むね子嬢は、体の底から湧き上がる震えを抑えるように手を拳にした。私達は一般女性に比べて、物事を知らないことが多すぎる。叶わぬ恋にぶつかったとき、諦める術を身につけなければならなかった。 (しっかりしなさい)  私は両手で頬を叩いて、気合いを入れる。 「おやおや、むね子姫の同じ学校のご学友ですかな?」  にこやかに、むね子嬢の婚約者、島原義一様が笑顔で近づいてきた。感じが良さげで温厚だとつくづく感じた。 「義一様。この度はご婚約おめでとうございます」  私と伊沙子嬢は揃って、姉妹のように頭を下げた。義一様は上機嫌だった。 「あと数か月でむね子様は、女子学修館をやめます。貴女達にはお世話になった。うちに嫁がれましても、是非仲良くしてやって下さい。うちに遊びに来て下さいね。もし、将来の伴侶がお決まりでないのでしたら、私が仲立ちをして何とか致しますよ」
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